勝田の忘れもの
昨年2019年の勝田マラソンは、私にとって初マラソンでした。
それまで、ハーフマラソンを一度だけ参加しました。
1月初旬に今年と同じように故障してしまい、大会1月27日までの月間走行距離が90キロ未満。
走れるかどうか、完走できるかどうか、不安で不安で、でも走りたくて。
その3か月くらい前のつくばマラソンにエントリーしていたのですが、前々日に風邪をうつされて無念のDNS。
練習も積めていて、かなり良い状態だったので、すごくショックでした。
今回は風邪は防げたけど、故障中。
でも、なんとか走れそうだったので、勝田に向かいました。
車で1時間半ほどで、水戸駅から5分くらいの駐車場に。
勝田駅周辺は駐車場あまりないようなのですが、水戸駅周辺は何ヶ所もあって、一日500円という環境。2019年の水戸漫遊マラソンの時も使いました。
勝田までは、そこから一駅。
車内はランナーで溢れていますが、一駅だったら立っていても足は疲れません。
ホームが見えると、
「私たちJRも、ランナーの皆様が無事に完走することを願っています」
といった車内アナウンスが。
車内に笑みが溢れ、緊張も和らぎます。
粋ですね^ ^
JRが好きになる、素敵な広告で、今年も聞きたいです!
当日は絶好のマラソン日和。
号砲を待つ間の高揚感と不安感。
武者震いなのか、寒さなのか、嫌じゃないガクガク。
今日は絶対、脚に負担をかけない。
できるだけ丁寧に丁寧に、絶対オラオラ走りはしない。
それだけを考えて、走り始めました。
序盤は、ふわふわした記憶しかなくて、まさに夢中でした。
沿道の声援と、ラップごとになるガーミンの大合唱を、断片的に思い出します。
15キロ手前の登り坂で、激しく息を切らして、周りに轟ぐ足音を立てていたおじさんを抜かす時に、ふと我に返りました。
「この人、この時点で、こんな地獄のような状況で、どうするのだろう?靴底を減らすゲームなら一番だな・・・」
おっといけない。
他人に気を使うのはやめ!
「脚に負担なく、優しく柔らかく」
そんな葛藤をしながら、エイドを迎えます。
勝田は私設エイドがたくさんあって、補給食もバリエーションに富んでいます。
町中がランナーを応援しているような、そんな歓迎ムードと一体感がありました。
「マラソン大会って、楽しい。一人で走るのと全然違う」
ちなみに、私はランニングクラブには入っていませんし、仲間もいないので一人で走ってます。
そんな時、カーブを曲がったすぐのところに、一口チョコを配っている私設エイドが。
これだったら食べれるかもと、車道中央から歩道に慌ててスピードを緩めることなく寄りました。
手渡しでチョコを配っている女の子の手から、チョコをもらいました。というか、奪い取りました。
むしり取るように。
小学校二年生くらいの女の子で、「がんばれー」と、一生懸命、応援してくれていました。
でも、私が勢いよく奪い取ったせいで、ビックリして半歩下がってのけぞってしまいました。
「あっ・・・ しまった」
この光景を、今でもたびたび繰り返します。
ほんの数秒惜しさに、自分のエゴ丸出しの態度のせいで、ボランティアの優しさを踏みにじってしまった。
次、もしまたあの女の子に会えたなら、立ち止まって「ありがとう」と伝えたい。
その場で食べて、
「これで元気出て、完走できそう」とも。
実際チョコを食べると、脳が糖に反応したのか、元気が出てました。
その後のレースは、淡々と進み、35キロを過ぎた辺りで、「ここまできて、この状態なら、完走できる!」
そう実感した瞬間、今まで体験したことないくらい感動して、走りながら二粒ほど落涙してしまいました。
完走した時より感動は大きくて、体が震えるほどの体験でした。
故障して臨んだ、初マラソンだったからこその感動で、こんなギフトもらったら、マラソンにハマるしかないです。
タイムはネットで3.13.11でした。
この大会を通じ、ボランティアの皆様、エイドの皆様のありがたさを実感しました。
公道を42キロにわたって占有して、かけっこさせてくれる贅沢さ。
その後に参加した大会では、全員には無理ですが、自分が取ったエイドの方には、ありがとうと伝えるようになりました。
ありがとうと言った後は必ず、力が湧く感覚かあります。
これからも、感謝の気持ちを忘れることなく、楽しんで走りたいです。
勝田まで、あと2日。
あの女の子に、会えるといいな。